たららったたたた♪たららったたたた♪たららったった♪たららったった♪たららったったったたかたかた〜ん♪(○P風)

本日の『軍部3分間クッキング』、ゲストは…ゲストは……(こそこそ)えーと、この方、本当に料理できるの? マジで? 携帯食を鍋に突っ込んで貪り食うとかじゃなく? や、責任問題は勘弁してもらいたいんだけど……そお? じゃーやってみるかねえ……。
えー、大変失礼致しました。本日のゲストは「オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将」、なんと先日ゲストにお越しいただきました、ピンクのエプロンが愛らしかったアームストロング少佐のお姉さまでいらっしゃいます。
それではご登場願いま〜す。

「貴様ら、今の紹介ごときに何分かけている。確実に3分は過ぎているぞ!」

……ひぃっ! す、すみません! ちゃっちゃと! ちゃっちゃと終わらせますんで!
ほ、本日は少将の助手としてマイルズ少佐とバッカニア大尉にもお越しいただいております。
あの……なんで皆さん、ピンクのフリルエプロンなんですか? 先日の少佐も同じものを……。

「これは軍の支給品だ。余計な詮索はしないほうが身のためだぞ、司会者」

は、はい!! それではお料理をお願いいたします!!



お題「塊肉の煮込み」



このくだらん番組を見ている国民諸君。私が料理なんぞ得意そうに見えるか?
見えんだろう? ああ、その通りだとも。料理なんぞは最低限、バランスとカロリー、腹を満たす分量が適度に揃っていさえすればいい。血臭の漂う戦場で、携帯用の干し肉を齧りながら銃を撃つことなんぞ珍しくもない。贅沢を言っていられるような立場でもないからな。
まあ、そんな状況であっても美味いにこしたことはない。
バッカニア大尉、材料の一覧を。



材料:塊肉   1キロ
   コーラ  350ml缶1〜2つ
   醤油   300cc
   赤ワイン 300cc
   ニンニク 1かたまり
   人参   1本
   玉ねぎ  1個
   長ねぎ  1本
   タカの爪 1本
   八角   2かけ
   しょうが 2かけ
   ローリエ 3枚
   下味用赤ワイン 200cc
   塩・コショウ 適宜
   オリーブオイル 適宜



自宅の冷蔵庫にはないものもあるだろうが、気にするな。多少材料を端折ったくらいでは、挫けん程度の料理を用意したつもりだ。雑でガサツで結構。でかい鍋を用意して大雑把に作れ。これだけ作れば3食は食える。ただし、煮込みというからには多少の時間は覚悟しておけ。



1.肉に下味をつける

塊肉と聞いて戸惑う者もいるだろう。要は肉の種類なぞ何でもいいということだ。牛・豚・鳥、何でもどこの部位でもいい。コラーゲンを取りたいというのであれば、牛スジなんぞも入れておけばいいだろう。ただし脂が浮いて嫌だというのなら、豚バラ肉は避けるがいい。
分量を1キロと書いたが、それでは鍋に入らんだろう。適当なサイズに切断しろ。それをボウルやバットに入れ、下味用の赤ワイン、塩・コショウ、ニンニクの半分の量を包丁の背で潰して、大雑把に肉に揉み込め。適当に揉み込んだら肉に沿うようにぴたりとラップをかけ、そのまま30分ばかり放置しておけ。


2.野菜を切る

材料にあげてある野菜はすべてダシだ。よってこれも大雑把に切断しろ。ただし、人参としょうがの皮は剥くな。皮がついていたほうがいいダシがとれる。良く洗っておけば問題ない。タカの爪は中の種をとっておけ。


3.肉・野菜を焼く

マイルズ少佐、鍋を火にかけてくれ。
十分熱したところにオリーブオイルを入れ、煙があがるぐらいになったら肉を入れる。全面に軽く焦げ目がつくまで焼いたら、弱火にして野菜を肉の隙間と上にかぶせるようにいれ、鍋に蓋をし、短時間であるが蒸し焼きにする。5〜10分程度も焼けばいいだろう。


4.調味料類を入れる

まずコーラを入れる。甘さを強くしたければコーラの量を増やすといい。熱い鍋の中に注げば、炭酸が吹き上げるかのような動きをするが、そこは怯むな。料理は攻めが基本だ。
コーラの炭酸がおさまったら、次に赤ワイン、醤油を入れる。
肉にかぶる程度の量にならなければ、随時各材料を足すように。各家庭によって鍋の形が違うからな、臨機応変に対応できなければ負けるぞ。


5.弱火で煮込む

気長に待て。時には忍耐も必要だ。この場合は……そうだな、最短でも1時間は煮込んでおけ。その後、一度冷めるまで待て。
巷にはホットシャトルだかいう名前がついた、保温の効く鍋があるそうだが……そんなものがあるならば、1晩寝かせるとさらに美味くなる。あるものは活用しろ。


6.切り分ける

さて、賢明なる諸君は最短の1時間を待ったはずだ。
今回はテレビ番組だとかでしようがない。
熱いうちに食いたくなる諸君の気持ちもわからんでもないが、冷めてからのほうが切り分けやすい。いいか、冷めてからだ。
口に入れやすいようにスライスし、皿に盛るがいい。
中には身離れが良く、切った端から崩れていくものもあるだろう。が、崩れたものはさらに崩し、熱い白飯の上にのせて食してみるがいい。『○○フレーク』と名づけたくなるぞ。炒飯の具や、亭主の弁当を手抜きする一品には最適だ。
ああ、一緒に鍋に突っ込んだ野菜類は食うな。煮込み野菜ではなく、『ダシガラ』になっていて調味料の味しかせんぞ。
残ったツユはザルで野菜類をこし、保冷パックにでも入れて冷凍庫に突っ込んでおけ。水を一切使っていない、肉と野菜の旨みの濃いスープとして、また煮込みを作る時に使って良し、他の煮物のコクを出すために少量入れるも良しだ。うまく使え。
では、これにて終了する。
マイルズ少佐、バッカニア大尉、後片付けは任せた!




あー、最後にもう一度ご紹介する前に帰られてしまいました。ピンクのエプロンのまんまで……。
どうやら後片付けは残された助手のお二人がされる模様です。
ピンクのエプロンをつけたゴツイ男2人が狭いシンクで洗い物………心が癒されますねv 洗い立ての食器のようにピッカピカに輝くような気分です。
少将は何度か大雑把と繰り返されてましたが、あたりにはとてもいい匂いが漂っています。『塊肉の煮込み』、一度是非お試しください。
以上、『軍部3分間クッキング』大総統府提供でお送りしました。
次回もまた見てくださいね〜♪

たららったたたた♪たららったたたた♪たららったった♪たららったった♪たららったったったたかたかた〜ん♪(○P風)


あ、そこの食器、しっかり洗ってくださーい!!
ヨゴレが残ってます、ヨゴレが!!




     料理小説/ひい様
     挿絵/れい



E.「なぁ、大の男2人がかりで落ちない汚れって・・・何だよっ?いったい何作ったんだ?少将は?」
R.「『塊肉の煮込み』だろう?」
E.「嘘だーーーーーっ」
R.「そう・・・思いたいじゃないか」



       エドの疑問は・・・そのままひい様の疑問でございました。
        すみませーん。真剣に鍋や皿を洗う2人・・の台詞がマズ
        かったらし〜

アームストロング少将の「熊塊肉」料理レシピ