『タコ揚げ ハリセンテイスト』



たららったたたた♪たららったたたた♪たららったった♪たららったった♪たららったったったたかたかた〜ん♪(○P風)

さあさあ今週もこの時間がやってきましたよっ、奥さん! アメストリス大総統府提供、午後のお料理番組『軍部3分間クッキング』!

なんで司会者のワタクシがこんなにハイテンションなのかというと、本日の講師陣が独り身にはやってらんねーからです!

視聴者の皆様のご希望により、本日の講師はなーんと2人!
わが国が世界に誇る放火魔……じゃなかった、君のハートにバーニン・オン☆焔の錬金術師ロイ・マスタング大佐!

えぇーんど、キラリと光る金色のミラクル、プリティー・ビーンズ☆鋼の錬金術師エドワード・エルリックでぇぇっっす!!

そんじゃお二人とも、準備はよろしくってぇ!? アーッレ・キュイジーヌッ!! あー、チクショー、俺も彼女ほしーっ!



ぷ…プリティー……ビーンズ……(ぷっ)。
バーニン・オン☆……って、あんた一体、普段軍で何やってんだよ。
もちろん職務をまっとうしているとも。まあ、君のことを考えているあいだはその限りではないがね。

…ばっ、何バカなこと言ってんだよ!
君が今どこで何をしているのか、また何か事件に巻き込まれていやしないか、怪我なぞしていないだろうか、事件に巻き込まれるならまだしも、君を見初めたどこぞの馬の骨の手にかかってやしないだろうとかと考えるだけで、各地への諜報活動への熱と予算の入れようも違ってこようというものだよ。

……ちゃんと仕事しろ、アンタ。



材料:タコの頭とか足とか 食料品店で売っている1〜2パック程度

   ニンニク  1かけ
   ショウガ  1かけ
   長ネギ   1本
   人参    1/3本
   キャベツ  1/4玉
   紅ショウガ 1かけ
   酒     大匙3
   醤油    大匙1
   中濃ソース 大匙2
   片栗粉   大匙3
   小麦粉   大匙6
   玉子    2個
   揚げ油   適宜
   塩     適宜
   水     適宜



「ハリセンテイストのハリセンって、なんなんだ?」

「ハリセンとはシンよりも東にある某国の地方の呼び名らしい。文献によると、なんでも世界でも稀に見る数のボケとツッコミが共存している、一部芸能界の聖地なんだとか……この国にはない類の土地のようだな。ちなみにこの料理名の『タコ揚げ』とはその国の伝統遊戯からとったそうだ」

「へえ〜。いっぺん見てみてぇ」

「君は国内なら行ってない場所を探したほうが早いからね。君とアルフォンス君が元の体を取り戻したら、2人でどこにでも行ってみよう。新婚旅行くらい見知らぬ国を旅するのもいいだろう?」

「誰と誰が新婚で旅行なんだよ……」

「もちろん、君と私が。……ちょっと待ちたまえ、エディ。その刃物はしまいなさい。何をするつもりだね!?」

(大変お見苦しいシーンをお見せしたことをお詫び致します。しばらくお待ちください)


1.材料を切って下準備

「…はあ、死ぬかと思ったよ。照れ屋な君も可愛いが、そんなに暴れられては身がもたないね。ああ、わかった。もう言わないよ、真面目に料理を作るとしよう。テレビの前のご婦人方もお待たせしていることだしね。
それではタコは一口大より小さめにぶつ切り、長ネギ・紅ショウガはみじん切り、ニンニク・ショウガ・人参はすりおろしてくれたまえ」

「人参はすりおろすと水分が出てくるから、ちょっと絞っておくといいぜ」
「まず酒大匙1・片栗粉大匙1を切ったタコに振りかけよく揉みこみ、臭みとぬめりを取る。揉みこんだあとは水でさっと洗って、臭みを吸い込んだ片栗粉を流す。次に残りの酒、すりおろしたニンニク・ショウガ、さっと塩を加え、さらに揉みこんでこれを下味にする。よく馴染むように時々混ぜ返してくれ」

「キャベツは付け合せ用だ。食べやすいサイズに千切って冷水か、氷を浮かべた水にパリッとするまで放す。キャベツは寒玉でも春玉でもウマイ」


2.衣をつくる

「次に揚げ衣だが、まず玉子を黄身と白身に分け、白身を泡だて器でよく泡立ててしっかりとメレンゲを作る。女性の細腕には少々辛い作業だが、ここは恋人やご亭主の喜ぶ顔を思い浮かべて、しっかりと泡立てていただきたい。私としては熱々の揚げ物を、頬袋いっぱいにして頬張るエディの姿を思い浮かべ……」

「リスじゃあるまいし、俺に頬袋なんざねえっ!」

「そのくらい食べる姿も可愛らしいのだよ……はいはい、悪かったよ。そろそろ油を火にかけなければならないから、暴れないように」

「……ちっ。えーと、それじゃあ残った玉子の黄身と粉類・人参・紅ショウガ・長ネギを混ぜて、ちょっともったりとした固めの生地になる程度に水を入れてくれ。混ざったらさっきのタコと……それ貸せ、無能」
「無能は酷いな。つれない君を思って、ひたすらメレンゲを作っていたというのに」
「いいから、さっさとメレンゲ寄越せ。時間が押してんだよ。さっきのニンニク・ショウガまみれのタコとメレンゲを生地に入れて、ゴムベラか木ベラでさっくりと混ぜる。あんまり捏ねるように混ぜると、メレンゲの泡が潰れて台無しになるからさっくりと、適当にな」


3.揚げる

「では揚げるとしようか。ご婦人方は飛び跳ねた油で火傷などせぬよう、くれぐれもご注意いただきたい。あなた方の柔肌に火傷の跡など見たくないのだよ。エディも危ないから私の後ろに下がっているように。君の肌に火傷跡などとんでもない。
油の温度はだいたい160℃ぐらいがいいだろう。温度計があれば簡単にわかるんだが……」

「なければ菜箸を油に突っ込んで、泡が浮いてくるくらいだと思っておけばいいぜ。あとは衣をちょっとだけ油に落として、鍋底まで沈んでから浮いてくるくらいかな。沈まないで浮いたまま…っていうのは、ちょっと温度が高いから火を弱めてみて」

「ふむ、適温になったな。それでは大きめのスプーンか、小さめのおたまで、タコが1個は入るように、さきほどの衣を掬い取って油にそっと落としてくれたまえ」
「メレンゲが入ってるから、揚げると多少膨らむし、すぐに色がついてくるからちょっとびびるかもしんないけど、がんばってな」
「焦らず少しづつ、油に入っている衣が互いにくっつかないように、気をつけて入れる。無理をして1度に揚げようと思わないことだ。業務用の大鍋で揚げるならともかく、家庭用の鍋では限界がある。油の温度も下がるし、入れた衣同士がくっついて団子状になってしまう。焦ったとしていいことはないよ」
「時々ひっくり返しながら、キツネ色になったところで揚げ網にとる。中まで火が通っているか確かめたいなら、最初に1個分だけ揚げて、火の通り方を確かめるといいと思うぜ」


4.ソースを作る・盛り付け

「ソースは超簡単。材料にあった中濃ソースと醤油を混ぜ合わせるだけ。適当な小鉢にぱぱっと入れて、スプーンなんかでちょちょいと混ぜれば出来上がり〜」

「あとは味見をしてお好みで足りないものを足してくれたまえ。では、この料理の大詰め、盛り付けだ」

「大皿に食べる人数分を豪快に盛り付けてもいいし、個別に盛り付けてもいいけど、千切ったキャベツを皿に広げて、その上にアツアツの揚げ物をのっける。ソースを添えて、ほい完成」
「トマトがあれば添えるとさらに彩りがいいし、さっぱりとするだろうね」
「さらにハリセンテイストにしたけりゃ、青ノリとか鰹節を散らすといいぜ」
「今日のところは青ノリはやめておこう」
「…なんで? うまいよ?」

「確かにうまいがね。食後に確認するにしても、君にいざキスしようと顔を近づけて、唇の端に青ノリを発見されては立場がないだろう?」

「余計なことをしなきゃ、青ノリだろうと何がついてようと構わないんだよ!」
「おや、君へのキスが余計なことだというのかい? 朝な夕なに昼日中、いつでもどこでも君に触れていたいくらいだというのに」

「すみませーん、司会者〜。っつーか、少尉、このバカ黙らせるからカメラとマイク、そっちにやって〜?」



ほい、了解。ブレダ、カメラこっち回して〜。
えー、料理が完成したところで『鋼の錬金術師による焔の錬金術師非公開おしおきタイム』となってしまいました。いや〜、セットからは殺伐とした音が聞こえてきますね〜。ところどころ聞こえる悲鳴は、今日の料理のスパイシーな味付けってことでご了承下さい。エキサイティングな料理もたまにはいいっすよ。
以上、『軍部3分間クッキング』、提供は大総統府でお送りしました。ではまた次回お会いしましょ〜。

たららったたたた♪たららったたたた♪たららったった♪たららったった♪たららったったったたかたかた〜ん♪(○P風)

おっ、行け、大将! そこだ、ヤレ! いっそ殺ってしまえ! 全国のモテナイ男の恨みを晴らしてくれーーーーっ!!














「焔VS鋼V」6.3 用ペーパー再録

  文/hii様
  絵/ray